



画像クレジット(左から)
1 《The dung of the palm trees that grows from the feet becomes fruit and blends into the jungle. Everyone wants it very much.》2024, oil on canvas, Photo by Shintaro Yamanaka (Qsyum!)
2 《Pretzel》2025, watercolor and pencil on paper, Photo by Shintaro Yamanaka (Qsyum!)
3 《Anatomy》2025, oil on canvas, Photo by Taku Shindoh
4 《Waterfall》2025, stone, Photo by Shintaro Yamanaka (Qsyum!)

Photo by Shintaro Yamanaka (Qsyum!)
川内理香子
The shape of water hardens into stone.
2025年10月25日(土)-12月28日(日)
English Press Release
HERE
川内理香子は、眠くなる、お腹がすく、あるいは消化、排せつ等の意識ではコントロールの難しい生理的現象や、食事を通した外界と身体との交わりなど、思考と身体、内と外というような「私」に関わる様々な境界に大きな関心を寄せています。それらの問いは、人類学者クロード・レヴィ=ストロースの著書『神話論理』に共鳴したことで、より多様で豊かな世界と繋がっていきました。作家の内側に沸き起こるイメージや感覚が掬いとられた線は、人物、動物、食物、壺、内臓、月や星等を形作り、時には様々な神話の出来事とも結ばれながら、画面や空間の中で映しあって存在しています。
本展では、作家の関心事や制作過程における身体的なやり取りが、美術館周辺の様々な風景の循環と結びつきながら、曖昧に混ざり合う多層的な世界を提示します。そして、様々なものの境界が取り払われた新たな視野により、自身の身体と出会い直す機会となれば幸いです。
出品作家
川内理香子
(東京都出身、1990年生まれ)

2014年『第1回CAF賞』では保坂健二朗賞を、2015年『SHISEIDO ART EGG』参加の際はSHISEIDO ART EGG賞、2021年『TERRADA ART AWARD 2021』では寺瀬由紀賞、2022年『VOCA展2022 現代美術の展望 – 新しい平面の作家たち -』では大賞のVOCA賞を受賞するなど、若手ながら確かな実力を持つ注目の作家。
近年の主な個展として、『INNER VECTOR: 11, 72, 2154』(2025年、非畫廊 Beyond Gallery、台湾)、『Paintings & Drawings – Food, Animals, Organs, Plants, Bodies, etc, everything outside me is everywhere in the air, I breathe them in, I breathe them out.』(2024年、Van der Grinten Galerie、ドイツ)、『Under the sun』(2024年、アニエスベー ギャラリー ブティック、東京)、『Even the pigments in paints were once stones』(2023年、WAITINGROOM、東京)、『The Voice of the Soul』(2023年、ERA GALLERY、イタリア)、また近年の主なグループ展としては、『開館5周年記念展 ニュー・ユートピア—わたしたちがつくる新しい生態系』(2025年、弘前れんが倉庫美術館、青森)、『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』(2024年、東京都現代美術館、東京)、『Body, Love, Gender』(2023年、Gana Art Center、韓国)、『アーツ前橋開館10周年記念展 – New Horizon 歴史から未来へ』(2023年、アーツ前橋、群馬)等、国内外で多数の発表を行うとともに、その表現を伸びやかに更新している。
https://waitingroom.jp/ja/artists/rikako-kawauchi
https://rikakokawauchi.com/
絵の具も水みたいだと思う。
ペインティングにおいて、水のように柔らかくスムースな絵の具の積層の中、谷を作るように、絵の具を引っ掻いて線をひく。
水は全ての境界を曖昧にするものだ。
川や海。そこには石や魚、あらゆる物が含まれるが、それら全てを取り込んで1つの川や海となっている。
黒部で見た川と海が混じり合う河口を思い出す。
海からくる波と、川の流れの方向が様々に流れ、その流れは緩やかに混じり合ったり、反発しあったりして、複雑で、混沌としていて、それでいてとても調和が取れているようにも見えた。
キャンバスの上においても、その河口の水面のように、私の身体、思考、絵の具の物質は、1つの画面の中に没入し、それぞれの波は混じり合い、それぞれの流れが運んできたものが画面の中で、浮いては沈み、重なり合う。
私は忙しい。
何よりも早く、
何よりも先に、
その流れの中にあるものを、
渦中の底から起こる竜巻や渦巻から出てきたものを、
その混沌の中の一瞬の水面の輝きを、掬い上げる。
いつまでも柔らかなように思えて、ある瞬間それは石のような固まりを私に感覚させる。
その瞬間、画面の中の流れは氷結し、その時の瞬間、時間、私の身体が画面に閉じ込められたように感じる。
小さな石、大きな石、それらの形を削りながら運ぶ川の流れ。その川自体が、石のように、それらさまざまなものを含みながら1つに固まったようだ。
今展示においても、1つの作品のイメージの中で、また、それが置かれる展示空間全体が、無数の塊が溶け合って大きな流れとなったり、またある時はそれぞれが固まって個体が見えてきたりするような、水だと思えばいくつかの石になり、石だと思えば水に溶け変わるような展示としてあれば良い。
川内理香子






本展のポイント
1)
作家は、黒部近郊を訪れ、山の大理石の露頭、洞杉群(巨石の上に根を張った巨大な杉)、石仏、滝、川、河口、海、様々な場所の水や石と出会いました。その地域の環境が作家の制作方法や関心と共鳴し展覧会のコンセプトは構想されました。上記の作家によるコンセプト文に、明らかなように、本展タイトル「The shape of water hardens into stone.」もその過程から生まれてきました。
様々なものが等価に交じり合い、別々でありながらも調和しており、それら世界のものごとは、川のように流れ、また別の何かへと繋がっていくようなイメージが、本展の土台となっています。
2)
マクロとミクロを行き来するような循環的な展示空間を目指します。
絵具や線のダイナミックな流れ、その大きな世界の中に息づく小さな食物や動物等、それら作品は個でありながらも一つインスタレーションのような空間をつくります。その空間は内側であるようで外側かもしれないということが示唆され、繋がり合い、響き合うことが意識されます。また、そのコンセプトと呼応するように、本展では、小さな作品を組み合わせて一つの大きな絵のように見せる試みや、個々の石彫が繋がり蛇のようになった新作《snake》等、一と多を行き来するような新たな表現や見せ方にも挑戦しています。
3)
黒部川河口や近隣の海辺で作家が拾った自然石を用いた《snake》や、イメージが類似しているという観点から、黒部近郊の自然との関りが強く感じられる《all same brain》が新作として出品されます。
(その他の作品も、多くが新作となります。)
4)
公立美術館での川内理香子の初めての個展となります。
休 館 日
月曜日(但し11月3日、24日は開館)、11月4日、5日、25日、26日
開館時間
午前9時30分-午後4時30分(入館は午後4時まで)
閲 覧 料
一般500円(400円)、高校・大学生400円(300円)
( )内は20名様以上の団体料金
*中学生以下無料 *障害者等手帳をお持ちの方と付添1名無料
主 催
黒部市美術館[公益財団法人黒部市国際文化センター]
共 催
黒部市、黒部市教育委員会
助 成
公益財団法人朝日新聞文化財団
協 力
WAITINGROOM
後 援
北日本新聞社、北日本放送、富山テレビ放送、チューリップテレビ、みら~れTV、新川コミュニティ放送
イベント
「オープニングセレモニー&アーティストトーク」
2025 年10月25日(土)
14:00~14:15頃 オープニングセレモニー
14:15~14:45頃 アーティストトーク
会場|黒部市美術館 展示室等 (*展覧会観覧券が必要)
とみだい☆ペケペケアートショップ in 黒部市美術館
「ひっかいたら、見えてきた!」
富山大学の学生さんと、秋の自然散策や展覧会を楽しんだあと、作品作りを行います。小学生向けワークショップです♪
2025 年11月1日(土)
午前の部 10時〜12時(定員 10人)
午後の部 13時〜15時(定員 10人)
会 場|黒部市美術館
参加料|無料(保護者の方が展覧会に入場される場合は、観覧料が必要です)
主 催|富山大学教育学部
申し込み|tel/fax:0765-52-5011〔休館日:月曜日、祝日の翌日〕
「見て!感じて!作品鑑賞バスツアー」
アート鑑賞と展覧会に関連する場所を訪れる遠足のようなツアーです!
2025 年11月9日(日)
ガイド|長谷川憲二(フィールドミュージアムガイド)、尺戸智佳子(黒部市美術館)
コース|本展鑑賞&ギャラリートーク–バス車内でジオのお話し&各自ランチ–称名滝〔紅葉〕–片貝川河口
集合場所|黒部市生涯学習文化スクエア「ぷらっと」、黒部市美術館
集合時間|9:00(ぷらっと)、9:30(黒美)
解散時間|16:30頃(ぷらっと)、17:00頃(黒美)
参加料|2500円(入館料・ガイド代等含む)
持ち物|昼食、飲み物、動きやすい服装、履きなれた靴、雨具
定員|18名
共 催|黒部市生涯学習文化スクエア「ぷらっと」
申し込み|tel/fax:0765-52-5011(受付:9月12日~11月8日〔休館日:月曜日、祝日の翌日〕)
なお、9月22日~10月24日までの展示替えによる休館中は、スタッフの外出や作業により電話が繋がりにくくご迷惑をおかけする時があるかもしれません。恐れ入りますが、その際は「お問い合わせ」のメールにてご予約をいただきましたら、後日ご連絡申し上げます。
【見て!感じて!作品鑑賞ツアー申込】の旨を記載の上、【氏名、住所、電話番号】をご記入くださいますようお願いいたします。